特集 高齢者の耳鼻咽喉科・頭頸部疾患—治療とリハビリのてびき
3.高齢者の鼻・副鼻腔疾患
②高齢者の副鼻腔疾患
藤谷 哲
1
,
洲崎 春海
1
1昭和大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.73-77
発行日 1998年4月30日
Published Date 1998/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902700
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はじめに
男女とも平均寿命が世界一となり,日本の人口構成は高齢者の比率が増加している。国連の扱いに準ずると65歳以上を高齢者としているようだが,高齢者といえどもまだまだ若く感じられる人が多いように見受けられる。これは各人が趣味や仕事をもち,日常生活を充実して過ごしているからではなかろうか。また高齢者の健康への意識は高く,1997年の総務庁の高齢者の健康意識調査によると,72%の人が“健康維持のために心がけていることがある”と答えている。
このように高齢者数の増加とともにquality of life (QOL)の向上,健康への関心が強くなってきていることより,高齢者が医師を受診する機会は増加することが考えられる。とくに感覚器の異常は高齢になると起こりやすいが,耳鼻咽喉科領域では,五感のうち聴覚,嗅覚,味覚を扱っていることから耳鼻咽喉科を受診することが多くなると考える。しかし治療(特に手術)においては年齢的なことを考慮して行わなくてはならない。副鼻腔疾患には慢性副鼻腔炎,副鼻腔嚢胞,副鼻腔癌など多数あるが,悪性腫瘍については他項にあるので,本稿では副鼻腔の良性疾患の代表である慢性副鼻腔炎と副鼻腔嚢胞の高齢者における治療について述べる。
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