特集 難治性副鼻腔炎の治療
4.内視鏡手術の術後処理
出島 健司
1
1京都府立医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.602-606
発行日 2002年8月20日
Published Date 2002/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902601
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はじめに
慢性副鼻腔炎に対する内視鏡下鼻内手術(endo-scopic sinus surgery:ESS)後の患者の鼻内経過を数多く経験してきたが,その視点から難治性といえば筆者はまず第1にアスピリン喘息(aspirinsensitive asthma:ASA)に伴う副鼻腔炎を想起する。もちろん,難治性副鼻腔炎とはアスピリン喘息に伴う副鼻腔炎と同義という意味ではない。ASA以外のケースでもいろいろと術後難治で苦労した経験もあるし,また,自分の経験はほとんどなくとも嚢胞性線維症(cystic fibrosis)の副鼻腔炎やエイズに伴う副鼻腔炎,原発性線毛機能不全(primary ciliary dyskinesia)なども難治性副鼻腔炎として扱うべきと考える。ESSによる慢性副鼻腔炎の治療成績は,マクロライド療法の確立と相まって近年著しく向上したが,案外未だに難治性副鼻腔炎が示す疾患概念は広範で決して稀ではないように考えている。また,ESSの場合,当初は難治性と考えていなかったケースでも,術後難治といわざるを得ないような状況に遭遇することも時にある。
本特集は難治性副鼻腔炎の治療であり,特にここでは内視鏡手術の術後処理をテーマとしている。何を取り上げるのが妥当か難しいところだが,難治性と呼んでよいかどうかは別として,筆者が術後「難治」と認識した症例の積み重ねから,難治性と関連深いいくつかの項目をピックアップし解説していくことにする。
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