特集 難治性副鼻腔炎の治療
2.マクロライド療法の適応
洲崎 春海
1
1昭和大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.592-595
発行日 2002年8月20日
Published Date 2002/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902599
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はじめに
工藤ら(1984年)によって,難治であった下気道の慢性炎症疾患であるび漫性汎細気管支炎(dif-fuse panbronchiolitis:DPB)に対するエリスロマイシン(EM)少量長期投与療法の有効性が報告された。DPBは非常に高率に慢性副鼻腔炎を併発するが,筆者ら(1990年)はDPBに併発した慢性副鼻腔炎に対する本療法の有効性を明らかにした。これらの報告に基づいて,慢性副鼻腔炎に対してEM,ロキシスロマイシン(RXM),クラリスロマイシン(CAM)といった14員環マクロライドの少量長期投与療法(マクロライド療法)が応用され,この治療法の優れた臨床効果が多くの研究により確認された。今日ではマクロライド療法は慢性副鼻腔炎治療の重要な位置を占めるに至った。
一方,この治療法があまりにも急速に広まったことで,本来手術的治療が必要な症例や無効症例に対しても,漫然と長期投与が行われる傾向が現れてきたのも事実である。マクロライド療法が慢性副鼻腔炎治療に応用されてから10年以上を経過しており,これまでの臨床効果の報告から本療法の効果が乏しい病態が明らかになってきた。
本稿では,慢性副鼻腔炎に対するマクロライド療法の適応について述べる。
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