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⑥脳のMEG非侵襲計測
外池 光雄
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1独立行政法人産業技術総合研究所関西センターライフエレクトロニクス研究ラボ
pp.483-491
発行日 2002年6月20日
Published Date 2002/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902584
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はじめに
嗅覚や味覚は化学感覚といわれているが,どちらの感覚についてもこれまで客観的計測の困難さ,刺激法に対する開発の困難性があり,匂いや味は現在においても何が刺激の基本量であるかさえ不明瞭である。一般に嗅覚や味覚の感覚は個人差が大きく,感覚の標準化が難しいのが実情である。さらに,匂いや味を正確に計測できるセンサーや測定器はまだ開発途上にあるなど,匂いや味が抱えている問題は複雑,かつ深刻である。これは,匂いや味による刺激が化学物質による物質刺激そのものであって,光(電磁波の波)や音(空気の粗密波)のように統一的に定義される基本物理量が未だ不明だからである。この問題は嗅覚や味覚に関して最も本質的なものであるが,われわれ人間が匂いや味をいかに知覚・認知しているかをもっと客観的に調べることができるなら,何が匂いや味の基本量であり,それらが生体内ではいかに情報処理されているかを解明することができるであろう。
近年,解明が遅れていた嗅覚の受容機構に対する研究が,わが国も含め欧米の先進国で急速に発展し,匂いリセプターに関するホットな話題が学術発表されるなど,最近,匂いの話題が生理学の基礎医学の学会でもフィーバーしている。
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