トピックス 心身医学と耳鼻咽喉科
7.頭頸部再建外科と心身医学
西川 邦男
1
1国立病院四国がんセンター耳鼻咽喉科・頭頸部外科
pp.847-850
発行日 2001年11月20日
Published Date 2001/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902447
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はじめに
頭頸部は,身体の中でも咀嚼・嚥下という生存のための基本的な機能や構音・発声という社会生活を営むうえでの不可欠な機能を司る部位である。また,顔貌は人間として自己を一個人として表現あるいは認識するために重要である。頭頸部癌切除に伴うこれらの機能と形態の損傷は,患者の社会復帰に大きな障害となる。それゆえ,生命予後を決定する頭頸部癌切除と術後患者の生活の質(quality of life:QOL)に深くかかわる頭頸部再建は表裏一体となり,頭頸部外科手術の進歩を支えてきた。
確かに頭頸部再建手術によって顔面の形態維持が可能になったが,現在の医療水準でも修正し得ない顔面変形はなお存在する。顔面変形が完治しがたく,また改善されたとしても,何らかの変形異常が残る場合には患者の精神的負担は一生涯続くことになる。それゆえ,局所を外科的に治療するにとどまらず,患者の心理をも理解することが形成再建外科医に求められるようになり,近年では精神科医と連携をとり,術前後での患者の精神的支援の必要性が論じられるようになった。
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