鏡下咡語
身近な危ない草花
中野 雄一
1
1新潟労災病院
pp.692-693
発行日 2001年9月20日
Published Date 2001/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902421
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残念ながら医療現場では,今もあってはならない事故が起き,そのたびに防止策が問われています。それにもまして事故に至らないニアミスやヒヤリ・ハットはもっと多く発生しています。このようなぞっとする場面はなにも医療界ばかりでなく,自然界でもみられます。それも身近な植物の世界で。
初夏の頃,所用である病院を訪ね,その玄関先に下り立ったとき,目の前の花壇一杯にきれいな赤紫色の美しい花が咲いていました。よくみるとそれはジギタリス(Digitalis purpurea)でした。以前,この葉をコンフリーと間違えて食べ,心臓がおかしくなったという話を聞いておりましたので,早速院長に会い,そのことを伝えました。いうまでもなくこの葉を乾燥させたものが強心・利尿剤となります。ところでDigitalisディギタリスはdigitalデジタル(指)に由来することばで,花穂の分かれた形が手袋の指に似ていることからつけられたとか。英名はfoxgloveキツネの手袋といいます。花の美しさに化かされたり,惑わされないようにしたいものです。
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