特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の新しい器械,器具
Ⅳ.手術器械
1)マイクロデブリッダーとハーモニックスカルペル
大久保 公裕
1
1日本医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.99-106
発行日 2001年4月30日
Published Date 2001/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902354
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マイクロデブリッダー:はじめに
マイクロデブリッダーは,ここ10年で耳鼻咽喉科の特に鼻科手術に使用され始めた器械であり,現在3種類が耳鼻咽喉科用として発売されている。XPSTMドリルシステム(図1),TPSハマーTM,エッセンシャルシェーバーTMシステムである。これらの最大の特徴は持続吸引しながら病変部を除去できる点であり,内視鏡下鼻・副鼻腔手術(ESS)におけるポリープ,あるいはポリープ状の粘膜病変に対して使用されている。ESSは以前から行われていた副鼻腔根治術の副鼻腔粘膜全てを除去するという目的から,鼻・副鼻腔の病変粘膜のみを除去する目的に変化した1)。このため,このデブリッダーシステムはESSのために耳鼻咽喉科領域に適応となったともいえるほど手術のコンセプトとシステムの特徴が一致した。実際のESSは左手で硬性内視鏡を把持し,右手で鉗子を操り手術操作を進めていく方法であり,出血がある場合には右手を吸引に持ち替えたり,ガーゼを挿入する必要がある。このように出血などで術野が確保できなくなることが,吸引できるデブリッダーシステムでは少なくなる利点が生じる。このように利点の多いデブリッダーシステムは,現在アデノイド切除術などにも応用されており,以下にその特徴を説明する。
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