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Ⅰ はじめに
耳鼻咽喉科手術の中で最も進歩した技術の1つに硬性鼻内視鏡と鼻内手術機器が挙げられる。従来,鼻内手術は額帯鏡下の照明によって前鼻鏡で広げられた鼻内を直視し,旧来の手術器具を駆使して個人の高い医療技術で局所麻酔下に行われてきた。しかし,術中の操作は術者しかみ見ることができず,その高い手術技量の継承には困難さと時間を要した。最近普及してきた内視鏡によって得られた画像所見は術者だけでなく手術助手,手洗い看護師,外回り看護師,学生も同時にみることができ,解剖学的位置,手術操作を同時に確認することができる。しかも,角度のある内視鏡による所見は,額帯鏡下では直視できなかった部分も明視下に置くことができる1)。
一方,鼻内手術器具としては,鼻茸絞断器,煎刃,鋭匙鉗子,麦粒鉗子,截除鉗子,骨彫刻刃,鋭匙など比較的出血を伴いやすい難しい器具を駆使して今までは鼻科手術を行ってきた。術中に吸引器で血液を取り除いたときにみえていた所見も,鉗子操作をしようとするときにはすでに新たな出血で覆われており,次の手術操作に入れず,また吸引をしなければならないという経験も少なくない。これは,内視鏡操作であっても同じで,先端を何度も清拭しなければならないことがある。この対策としては,出血を伴わない手術機器の使用,例えば,レーザーやアルゴンプラズマを用いることである2)。もう1つは,止血操作と手術操作が同時に行える手術器具,例えば,デブリッダーや吸引パンチを用いることである。また,術後出血対策として種々の素材が進歩し,後出血の心配が軽減されてきた3)。
このようなことから,手術操作が容易となり,手術時間が短縮され,後出血対策が整い,鼻科手術の入院期間は飛躍的に短縮した。こうした現状から,デブリッダーによる鼻茸摘出がショートステイサージャリーやオフィスサージャリーとして比較的頻繁に行われるようになってきた1)。
今回は,オフィスサージャリー,デイ・サージャリーで行うデブリッダーによる鼻茸切除に関して,機器,適応,施行上の注意などについて紹介することにする。
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