連載 小児の耳鼻咽喉科・頭頸部外科シリーズ
⑩頭頸部悪性腫瘍の取り扱い
八尾 和雄
1
,
髙橋 廣臣
1
1北里大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.461-468
発行日 2000年6月20日
Published Date 2000/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411902208
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はじめに
頭頸部領域の小児悪性腫瘍は,頭頸部悪性腫瘍を扱う専門医であっても,臨床での遭遇はときに認められる程度で,第一線の耳鼻咽喉科医の経験となると稀の範疇に入る疾患である。
さらに,初発ないし随伴症状は微熱,頭痛,不機嫌,食欲低下などの全身的症状と,滲出性中耳炎,鼻閉,鼻出血,頸部リンパ節腫脹などの局所症状で受診することがほとんどであり,小児の耳鼻咽喉科一般の疾患として診断,治療されることもしばしばある。これは患者が小児ゆえに本人からの訴えは少なく,問診の応答,病状説明は第三者である親を介して初めてなされ,診察に当たった医師に悪性腫瘍の可能性を考慮したうえでの診察がなされなければ,診断はある程度の腫瘍の進行があって初めてなされることになる。特に,成人の悪性腫瘍のほとんどは上皮性悪性腫瘍であるのに対して,小児の場合は非上皮性悪性腫瘍であることが多い1〜3)。これはより早期の診断と早期の治療を要する4)症例であることは言うまでもない。
本稿では過去27年間にわれわれの腫瘍外来を受診,治療した18例の悪性腫瘍について臨床的特徴と治療について述べる。ただし,医学的小児の年齢は15歳とされるが,疾病,さらにそれに対する治療への心理的,精神的,肉体的,社会的および経済的条件の未熟性から16歳を上限として検討対象に加えた。
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