特集 再建外科
I.再建材料とその採取法
4.骨付き筋皮弁
(1)肋骨付き皮弁—肋骨付き腹直筋皮弁;内胸動脈複合皮弁と下腹壁動脈茎肋骨付き腹直筋皮弁
竹市 夢二
1
,
亀井 壯太郎
1
,
小山 新一郎
1
,
花井 信広
1
,
多田 宏行
1
,
村上 信五
2
1名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科形成外科診療班
2名古屋市立大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.67-75
発行日 1999年4月30日
Published Date 1999/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901975
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はじめに
筆者らは1991年以来,内胸動静脈を血管茎とし胸部皮弁,肋軟骨・肋骨弁,腹直筋皮弁の3要素からなる内胸動脈複合皮弁を開発し,主として頭蓋,頭蓋底,上顎の再建に用いてきた1〜3)。一方,近年下腹壁動静脈茎の腹直筋皮弁に肋軟骨の一部を付ける試みも報告されている4,5)。
この2種類の皮弁は肋軟骨(あるいは肋骨)と腹直筋皮弁を含む点では似通っているが,内胸動脈複合皮弁が内胸動脈を主血管系として肋軟骨・肋骨弁,胸部皮弁,腹直筋皮弁を直接血行支配しているのに対し,下腹壁動脈茎肋骨付き腹直筋皮弁の肋軟骨・肋骨弁は下腹壁動脈と吻合する上腹壁動脈を介しての二次血行支配である点が大きく異なる。
内胸動脈複合皮弁は剣状突起周辺を中心にコンパクトにもデザインでき,また前腋窩線まで後方,腹直筋全長にわたる巨大な皮弁としても挙上できるため,単純上顎全摘から頭蓋上顎を含む複雑な巨大欠損まで対応可能である。また,内胸動脈皮膚穿通枝を利用し胸部皮弁を挙上できる。下腹壁動脈茎肋骨付き腹直筋皮弁は腹直筋がbulkyであるため,必要とされる硬性支持が単純な大欠損に適する。
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