特集 外傷と耳鼻咽喉科
III.口腔・咽頭
1.口腔・咽頭の裂傷
田中 廣一
1
1信州大学医学部歯科口腔外科
pp.86-91
発行日 1997年5月30日
Published Date 1997/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901603
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■はじめに
口腔・咽頭の裂傷とは,外界からの力によって顎顔面部に組織の形態的または機能的障害が引き起こされたことによる損傷(injury)をいい,その結果生じた病的状態が創傷(wound)である。つまり創傷とは体表面の皮膚軟部組織の障害を指し,「創」は皮膚の連続性が断たれた開放性のもので,「傷」は連続性が保たれた閉鎖性の状態を意味している。「創」と「傷」の区別は治療上正確に判断すべきであるが,困難なことも多いと指摘されている1)。顎顔面領域の外傷は耳鼻咽喉科,口腔外科,整形外科,形成外科,ときに救急外科などで扱われる場合が多く,分担する分野でその表現や分類を異にしているのが現状である。ここでは損傷(injury)のなかの裂創と裂傷を広義の創傷(wound)の1分類として取り扱うことにする。
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