特集 耳鼻咽喉科・頭頸部外科手術マニュアル—私の方法
耳手術
5.鼓室形成術(真珠腫性中耳炎) 1)open法
中野 雄一
1
1新潟大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.27-31
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411901455
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はじめに
もともと鼓室形成術は,保存的根本手術がさらに発展し誕生したものと考えると理解しやすい。すなわち,保存的根本手術が,中耳根本手術に準じ,外耳道後壁の除去を伴う乳様突起(乳突)削開を行った後,耳小骨や鼓膜をそのままにして,根本手術後にみられた聴力の低下を防こうとしたのに対し,鼓室形成術はさらにこれを一歩進め,鼓室内に病変があればこれを処理したうえで最初は残存耳小骨を利用,あとには連鎖の再建を行って,その上に新鼓膜を形成し積極的に聴力の改善をはかろうとしたものである。
したがって,この型の鼓室形成術では,削開した乳突腔が外耳道に広く開放されるため,この後に開発された外耳道後壁を保存する鼓室形成術と区別してopen法あるいはcanal (wall) down法と呼ばれるようになった。
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