目でみる耳鼻咽喉科
下部頸部に発生した皮様嚢胞Dermoid cyst
飯田 政弘
1
,
堀内 正敏
1
,
坂井 真
1
1東海大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.616-617
発行日 1993年8月20日
Published Date 1993/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900755
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皮様嚢胞の多くは先天性であるが,外傷による後天性の症例も報告されている。一般に先天性の皮様嚢胞は第1鰓弓および第2鰓弓の癒合線上に遺残した外胚葉成分に由来するとされ,顎舌骨筋を境に顎下部と舌下部に好発する。病理組織学的には下記の3型に分類される。
1)表皮嚢胞epidermoid type:嚢胞壁は重層扁平上皮で,内容はケラチン。
2)表皮嚢胞dermoid type;嚢胞壁は重層扁平上皮で皮脂腺,汗腺,毛嚢など皮膚付属器を有し,内容はケラチンや皮脂性物質。
3)奇形腫型teratoid type:嚢胞壁は皮膚付属器以外に他組織を含む奇形腫壁のもの。
報告する症例は発生部位としてまれな下部頸部に認められた先天性の表皮様嚢胞である。
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