トピックス 耳鼻咽喉科とリハビリテーション
難聴のリハビリテーション—2)Cochlear Implant
舩坂 宗太郎
1
1東京医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.533-539
発行日 1993年7月20日
Published Date 1993/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900744
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はじめに
言語の聴取は,音声の分析→語音の識別→語の解読→文法構造にしたがって文の内容の理解という過程を経て行われる。音声の分析はまず蝸牛でなされ脳幹で完成し,語音の識別以降は大脳で行われる。
蝸牛での音声分析は1960年代までは粗なものと考えられていたが,研究がすすむにしたがい,進行波の頂点の軌跡よりもきわめて精密なものであることが分かり,いわゆるsecond fiterの概念が生まれた。さらにドップラー法の応用により生体での基底膜振動の計測が可能となり,基底膜自身が鋭い周波数分析に合う振動をしていることが分かった。この機構は,外有毛細胞が振動刺激に対して自発的な伸展・収縮を起こし,その結果基底膜振動を制御する(cochlear amplification1))ためとされている(図1,2)。
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