目でみる耳鼻咽喉科
顎関節の滑膜性骨軟骨腫症の2症例
野本 実
1
,
今野 昭義
1
,
金子 敏郎
1
1千葉大学医学部耳鼻咽喉科
pp.792-793
発行日 1992年11月20日
Published Date 1992/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900634
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滑膜性骨軟骨腫症(synovial osteochondromato-sis)は,滑膜が軟骨化生を起こし,多発性に骨軟骨結節を生じる疾患で,好発部位は膝,肘,股関節で,顎関節に発生することは稀である。今回,われわれが経験した顎関節の滑膜性骨軟骨腫症の2症例を示す。臨床症状は顎関節部の腫脹,疼痛で,耳下腺腫瘍との鑑別が問題となるが,顎関節X線,CT,MRI,骨シンチが参考となる。手術所見として,軟骨様の関節内遊離体が存在することが多く,組織学的に滑膜細胞の軟骨化生が認められれば確定診断となる。良性疾患であるが,悪性化した例も報告されている。
症例1:23歳男性,主訴は左耳前部の腫脹,疹痛。1年前に左耳前部の腫脹,疹痛出現し,一時軽快したが’半月前より再び同症状出現したため,当科受診。左耳前部に圧痛のある2×2cmの硬い腫瘤を触知。RI:骨シンチ陽性,Gaシンチ陰性。
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