特集 外来診療マニュアル—私はこうしている
II.外来治療の実際—私の処方
48.頸部放線菌症
吉田 幸夫
1
1福井医科大学耳鼻咽喉科
pp.248-249
発行日 1991年11月5日
Published Date 1991/11/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900444
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放線菌症は,口腔内常在菌の一つであるActinomices israeliiの感染によって起こる慢性化膿性・肉芽性疾患であり,本菌の生息場所から多くは顔面・頸部に発生する.その中でも最もよくみられるのは歯根膜炎や抜歯部位の下顎部,外傷創などである.臨床的には緩慢に板状硬結を作り,炎症が表面に及ぶと皮膚の発赤をきたし硬度を増す.やがて軟化して多発性小膿瘍を形成し,ついで瘻孔を通して膿汁を排出する.病巣内あるいは膿汁中に菌塊(Druse)が認められることが特徴とされる.以前は難治性の疾患といわれていたが,抗生物質の出現以来予後良好となり,症例数も急速に減少した反面,定型的な病像を示すものが少なくなり,かえって診断が困難になった.
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