書評
—AO法骨折治療—アドバンスト頭蓋顎顔面手術—腫瘍,骨矯正,外傷
三谷 浩樹
1
1がん研有明病院頭頸科
pp.1113
発行日 2024年12月20日
Published Date 2024/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411203860
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「これは手術かな……」と考える患者を診たときに,CT/MRI,触診/視診から「どこまで切ればよいのか」を考えるが,いざ手術が始まれば次々と現れる動脈・静脈・神経の処理が待っており,術者には迷っている猶予はない。例えば下顎歯肉癌では,Ca断端に近づくことなく下顎周囲組織をフリーにする必要があり,そこからいよいよ下顎骨の処理に入っていく。レシプロソーで骨を切る時間はごく一瞬であるので,「刃を当てる位置,角度,力加減」がベストでなければ,術前に思い浮かべたとおりの切除にならないし,少しズレただけでも場所によっては,その後の再建計画にも影響を及ぼすことになる。
本書『AO法骨折治療 アドバンスト頭蓋顎顔面手術』は,そのような頭蓋・顎顔面骨の手術に携わる医師にとって,基本から応用までを網羅した良い指南書である。第2部の「下顎の切除と再建」を例に挙げると,骨切りの基本法から下顎再建法まで,項目ごとに実践に沿って,立体的なイラストとともに詳しく述べられている。この挿絵は,切除前/切除後の様子がわかるように本文とマッチしており,実際の手術の「一瞬の骨切除」の際にも,術者の脳裏にイメージが浮かび上がり,正しい切除ラインをトレースする助けになるであろう。
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