特集 外来診療のテクニック—匠に学ぶプロのコツ
扉
大石 直樹
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
pp.405
発行日 2022年5月20日
Published Date 2022/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411203035
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の魅力として,「外来・手術のどちらもできる」という点がよく挙げられる。優れた「手術書」は国内外から出版され,人気を博すが,優れた「外来書」というのは「あるようでない」のではないだろうか。私が専門医取得前に必死に外来診療を行っていた際,当時の指導医の先生がされていた外来を可能な限り見学し,外来のコツを学び取ろうとしていた。また,当時出版されたばかりの『一人で対処する耳鼻咽喉科診療』1)という単行本を何度も読み返して,外来で独り立ちできるよう必死であったことを思い出す。
耳鼻咽喉科外来は,単なる知識のみではうまくこなせない。所見を正確に取るための手技の工夫,局所治療の工夫,そして感覚器医学という特殊性ゆえに,患者さんの「主訴(何に困っているか)」を正確に聞き取る力,うつや不安などの心理的背景への配慮,など多面的な要素が求められる分野である。
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.