増刊号 術前画像と術中解剖—カンファレンスで突っ込まれないための知識〔特別付録Web動画〕
1.耳領域
小脳橋角部腫瘍に対する手術—経・後迷路法
大石 直樹
1
1慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室
キーワード:
蝸牛神経
,
顔面神経
,
内耳道底
,
S状静脈洞
,
高位頸静脈球
Keyword:
蝸牛神経
,
顔面神経
,
内耳道底
,
S状静脈洞
,
高位頸静脈球
pp.76-82
発行日 2021年4月30日
Published Date 2021/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411202678
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Point
本稿では経側頭骨手術である経迷路法および後迷路法に対象を絞って解説する.術前画像診断のポイント,画像診断に基づく術中解剖の把握方法のポイントとして,以下の3点を挙げる.
●顔面神経,蝸牛神経の走行と腫瘍との位置関係
神経の腫瘍背側走行例では機能温存手術は困難となるため,機能温存を主目的とした手術は避けるべきであり,術前の画像評価に基づく神経走行の判断がきわめて重要である.
●内耳道底への腫瘍進展の有無
聴力温存を企図する場合,内耳道底まで腫瘍が充満した例ではどのアプローチ法であっても聴力温存と腫瘍全摘の両立は困難である.確実な聴力温存を優先させるのであれば,内耳道底付近の腫瘍は全摘せず亜全摘などにとどめる選択をする必要もある.
●S状静脈洞の突出と高位頸静脈球
S状静脈洞の優位側が術側の場合,S状静脈洞は側頭骨内に突出し,また,その場合には高位頸静脈球を合併していることが多い.側頭骨CTにて術前に血管走行を確認しておくことが必要である.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.