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第一線の診療にすぐに役立つ,最新の総合診療事典として出版された本書は約700ページの中に322項目を収載し抜群の網羅性を誇り,実に読みやすく理解しやすい構成となっている。事典の本来の目的である調べたい項目をチェックするだけでなく,現在のこの領域での医療の状況を確認する目的で通読しても良い。まさに耳鼻咽喉科・頭頸部外科の最良の治療指針である。
総論として,患者の診かた(1章)や基本となる検査(2章)が記述されている。診療科の特殊性,専門性が再確認され,症状に合わせてどのように診断を進めるかをよく理解することができる。この領域の専門医のみならず,他科の医師にも非常に参考になると思われる。続いて3〜8章では,本書の大部分を占める疾患の解説,治療方法,薬の使い方の具体例,予後,患者説明のポイントが領域別に,詳細かつ簡潔に記述されている。限られた紙面に,よくこれだけの情報をまとめたものだと感嘆する。著者たちの英知の結集である。要所に挿入された写真や図表も疾患の特徴,診断の要点などをまとめており,理解に役立つ。次の9章では,本領域で扱う疾患の大部分が感覚器であるがゆえの機能低下・損失に対する医療機器による機能の代償が記述されている。この分野の進歩は近年目覚ましいものがあるが,現状での最先端の機種が紹介されている。そして10章で述べられているリハビリテーションも,機能回復には重要な医療であり,超高齢化社会がもたらす問題点でもある加齢による嚥下機能低下への対策も記述されている。すなわち疾患の治療のみならず,治療後の各種機能の保持に対する対応策の現状が解説されている。最後に付録として,研修カリキュラム,用語・手引き・診断基準,公的文書作成の補助が書かれている。至れり尽くせりである。
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