書評
耳鼻咽喉科・頭頸部外科レジデントマニュアル
香取 幸夫
1
1東北大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学
pp.748
発行日 2017年8月20日
Published Date 2017/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201379
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耳鼻咽喉科の学会において京都大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科の先生方の発表を拝聴して常に羨望することの1つに,各症例の治療経過の記録が適切に要約されていることが挙げられる。耳疾患から頭頸部腫瘍に及ぶいずれの領域においても,病歴,初診時所見,診断,保存的治療,手術といった一連の流れがとてもよく整理されているのである。その教室で行っている臨床指導(モーニングセミナー,イブニングセミナー)を凝集した本書を一読させていただき,なるほどこのようなセミナーを定期的に行い研修医や学生,メディカルスタッフをご指導されているのか,と感銘に及んでいる。
内容に少し触れてみたい。本書は全8章と付録から構成され,最初の2章は診察の総論である。第1章は「所見のとり方」で,耳,鼻,口腔,咽頭・喉頭,頸部の診察について簡明かつ十分に要約されており,学生のOSCEから専門医の一般診療のレベルまで対応できる内容である。第2章の「主訴からみた診察の流れ」では,耳症状,めまい・平衡障害,鼻症状,頸部腫脹といった16項目の訴えに対して,「まずやるべきこと」「診療の流れ」「想定される主な疾患」が順に整理されている。耳鼻咽喉科・頭頸部外科で扱う疾病の症状が遺漏なく順に述べられており,新患外来や救急で診察を進めるうえでとても参考になる。
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