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特集 外リンパ瘻診療の新しい展開
《外リンパ瘻関連疾患》
気圧外傷と外リンパ瘻
Pressure trauma and perilymph fistula
三保 仁
1
Hitoshi Miho
1
1三保耳鼻咽喉科
pp.742-749
発行日 2016年9月20日
Published Date 2016/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411201069
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POINT
●スキューバダイバー(以下,ダイバー)に発症する全潜水障害のうちの約80%が耳鼻咽喉科領域であり,その約90%が中耳腔圧平衡障害(以下,耳抜き不良)に合併する耳気圧外傷で,中耳気圧外傷および内耳気圧外傷である外リンパ瘻が発症する可能性がある。
●過去15年間に,耳抜き不良を主訴に当院を受診したダイバーの9.5%が外リンパ瘻を合併していた。その多くが,高音障害型感音難聴を呈する軽症例であり,安静にて自然治癒した。外科的治療が必要な中等〜高度難聴は,外リンパ瘻症例の約7%であった。
●スキューバダイビング(以下,ダイビング)における外リンパ瘻発症例のめまい合併例は,高度難聴を伴う重症型が多い。その他の内耳潜水障害には内耳型減圧症があり,これはめまい型が多い。これらの鑑別が重要であるが,鑑別困難なケースにしばしば遭遇する。
●ダイビング直後に発症した急性感音難聴および回転性めまいは,約80%が外リンパ瘻,約20%が内耳型減圧症によるものであり,突発性難聴ではない。早期に的確な診断・治療を行わないと,内耳障害の後遺症を残すことがある。
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