特集 耳鼻咽喉・頭頸部領域の痛み—その機序と臨床
III.非癌性疼痛
三叉神経領域の痛みとその臨床
顎関節症
佐々木 好久
1
1明海大学歯学部耳鼻咽喉科
pp.891-895
発行日 1989年10月20日
Published Date 1989/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200432
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はじめに
顎関節付近に疼痛があり,関節雑音,異常顎運動や開口障害を示すものを顎関節症という。この疼痛は顎関節部あるいはその周囲の運動痛,圧痛であるが,運動痛が過半数であり,鈍痛が多い。この疼痛には側頭骨下顎窩と下顎骨下顎頭の間にある関節円板など関節を構成する組織,関節を支持する関節包や靱帯,顎関節の運動筋である咀嚼筋群が関与している。
顎関節症の研究には日本顎関節研究会があり,研究会誌も発刊され,歯科医の人達によって運営されており,多くの報告が発表されている。耳鼻咽喉科領域からはCosten’s Syndrome (咬合異常など顎関節に異常のある場合,難聴,耳鳴,眩暈感,耳内や耳周囲の疼痛を発生する)として既に発表報告されているように,顎関節症と我々耳鼻咽喉科医との関連には深いものがある。我々もこの疾患に遭遇する機会が多く,更に多くの関心を示す必要があるように思う。
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