医療ガイドライン
高度先進医療(2)頭頸部癌の温熱療法
中間 昌博
1
,
森田 守
2
,
菅原 正
1
1自治医科大学放射線医学教室
2自治医科大学耳鼻咽喉科学教室
pp.153-158
発行日 1989年2月20日
Published Date 1989/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411200310
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I.はじめに
今日,さまざまな基礎的研究,臨床結果などから癌治療における温熱療法の有用性は疑いのないものとなっている。しかし温熱療法単独による治療効果には限界があり,その生物学的利点などから,現在ではほとんどの施設で放射線治療を主に併用療法が行われている。すなわち温熱には,①有酸素細胞より低酸素細胞のほうが熱に対する感受性が高い。②細胞周期でS期の細胞が熱感受性が高い。③放射線による細胞の障害一亜致死障害sublethal damageや潜在致死障害potential lethaldamage—からの回復を阻害する,などの特徴をもち’放射線治療との併用効果を示唆する研究成果を基盤としている。また臨床面でもそれを実証する多くの報告がみられている。
近年,加温装置,加温技術の進歩も相俟って,温熱療法は癌の治療法の一つとして急激な発展を遂げてきている。
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