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はじめに
内耳自己免疫病(autoimmune inner ear disease:AIED)は原因不明の両側性変動性進行性感音難聴と前庭機能障害を呈し免疫抑制剤が奏効する一群と定義される。1979年にMcCabeら1)によって自己免疫性感音難聴(autoimmune sensorineural hearing loss)として報告されたが,2年後には前庭障害が併発することから内耳自己免疫病と名づけられ,現在に至っている。病態は内耳特異的蛋白に対する自己免疫性組織障害で,遷延性かつ進行性のため,遂には両側聾および前庭機能の著しい障害に至り日常生活に大きな支障をきたす。診断は臨床経過によるところが大きく,McCabeら1)は両側性の感音難聴が緩徐に進行し数週間から数か月で悪化すると述べている。
しかし,その後症例が報告されるに従いAIEDの経過は多岐にわたることが知られてきた2)。必ずしも両側性進行性感音難聴の経過をたどるとは限らず,突発性難聴やメニエール病と診断された症例が後日の経過からAIEDと診断されることも多くあり,診断に最も有用とされる臨床経過からの診断も困難な場合も多い。
治療は副腎皮質ステロイド(以下,ステロイドと略す)が効果的であるが反復すると副作用の危険があり,また効果の減弱が認められるため,これらの問題が懸念される場合には状況に応じて免疫抑制剤の投与を要する。免疫抑制剤は治療効果が高いが発癌性などの副作用が問題であり,使用には注意が必要である。
今回,われわれは7歳で発症した強いめまいを伴う内耳自己免疫病の女児を経験し,免疫抑制剤による治療で良好の治療成績を得たので報告する。
Autoimmune inner ear disease(AIED)manifests as progressive or fluctuating bilateral asynchronous sensorineural hearing loss with episodes of vertigo, and it brings a serious obstacle for patient life. Here we reported a 7-year-old girl developed AIED and suffered from severe rotary vertigo, and immunosuppressive treatment with cyclophosphamide was very effective. AIED develops in most patients at over 40 years, but in few pediatric patients. In a juvenile case of with hearing loss and vertigo, AIED must be included in differential diagnosis, and long term follow up is nesessory.
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