特集 最新の診療NAVI―日常診療必携
Ⅰ.こどもの診療NAVI
2.こどものめまい
室伏 利久
1
1帝京大学医学部附属溝口病院耳鼻咽喉科
pp.13-17
発行日 2012年4月30日
Published Date 2012/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102125
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Ⅰ 疾患の概説
「めまい」という用語は,広義に用いられる場合も,狭義に用いられる場合もあるが,一般的には,「安静時あるいは運動中に,自分自身の体と周囲の空間との相互関係・位置関係が乱れていると感じ,不快感を伴ったときに生じる症状」と定義できる。人体の平衡は,視覚,内耳(前庭迷路)由来の平衡覚,固有知覚などの情報に基づき,中枢神経系において平衡感を認知し,また,姿勢の制御を行うことによって維持されている(図1)。したがって,これらの部位の不具合でめまいが生じることになるが,めまいを広義にとらえた場合,それ以外のシステム,具体的には,循環器系や心理的な問題によるものも考慮する必要がある。
一般的に,めまいを主訴として耳鼻咽喉科を受診する症例は,高年齢層に多く,小児は少数である。小児ではめまい症例自体が高齢者と比較して少ないことと,小児の場合は,めまいが主訴であっても小児科を受診することが少なくないものと考えられる。
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