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特集 治りにくい症状への対応
治りにくい頑固な咳,咽喉頭異常感(癌恐怖)
Intractable persistent cough and foreign body sensation of the larynx
内藤 健晴
1
Kensei Naito
1
1藤田保健衛生大学耳鼻咽喉科
pp.1003-1006
発行日 2011年12月20日
Published Date 2011/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411102018
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Ⅰ.はじめに
咳嗽にしろ,咽喉頭異常感にしろ,いずれも慢性の状態になると治りにくい要因はいくつかあるが,そのなかで最も注意しないといけないのは持続する症状が生命予後にかかわる重篤な疾患が原因でないかを念頭に置くことである。すなわち耳鼻咽喉科領域では咽頭癌,喉頭癌,喉頭結核などを,他科の疾患として咳では肺癌,肺結核,肺線維症など呼吸器疾患を,異常感では食道癌,胃癌など消化器疾患を見逃さないことである。特に咽喉頭異常感を訴える患者の約7割が癌不安を抱いている1)。そうした関係から,いずれの受診患者も少なからず癌恐怖にとらわれていることを認識しておく必要がある。
また,咳にしろ,異常感にしろ,局所に明確な所見がなく慢性化する特有の疾患がそれぞれあるので,それらを熟知しておくことは治療効果を高めるうえで有力な支援となる。
いずれの症状においても次に問題となるのが,心因性など精神疾患である。これらの原因では症状がこじれると患者との人間関係が損なわれ診療に支障をきたすことがあるので要注意である2)。
これら2症状について耳鼻咽喉科臨床において有益な要点をまとめて示す。
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