特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅲ.診断・治療をマスターする
10.咽喉頭炎
内藤 健晴
1
1藤田保健衛生大学耳鼻咽喉科
pp.264-267
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101856
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Ⅰ 病因・病態
咽頭と喉頭は近縁臓器であるがそれぞれ特異性,独立性があるので咽喉頭炎と一言でいっても個別の病態を呈することがある。通常,咽喉頭炎はウイルスや一般細菌によるかぜ症候群の一部分症であることが多い1,2)。その中で扁桃周囲膿瘍,咽頭後膿瘍,急性喉頭蓋炎,急性声門下喉頭炎など気道狭窄をきたす情況に進展すると緊急気道確保を要求されることがあるので注意すべき状態である3,4)。一方,稀ながら百日咳,ジフテリア,結核,梅毒など特殊な感染症(特異性咽喉頭炎)も今でもみられるので,その存在には注意が必要である5,6)。最近は喘息患者への吸入ステロイドの使用頻度が高まり咽喉頭真菌症も注目を集めている4)。また社会風俗の関係から性感染としての咽頭クラミジア(Chlamydia trachomatis)も忘れてはならない感染症である7)。
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