特集 耳鼻咽喉科感染症の完全マスター
Ⅱ.病原体をマスターする
1.細菌・原虫感染症
1)ブドウ球菌(含MRSA)
小川 慶
1
1東京大学医学部附属病院耳鼻咽喉科
pp.73-75
発行日 2011年4月30日
Published Date 2011/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101820
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Ⅰ 分類,疫学
ブドウ球菌はグラム陽性菌の代表的な属の1つであり,ヒト・動物の皮膚・粘膜に広く存在する常在菌の1つである。好気性・通性嫌気性であり,直径0.8~1μmの無方向に配列したぶどうの房状の形態をもつ。大きく分けて黄色ブドウ球菌(図1)と非黄色ブドウ球菌(表皮ブドウ球菌など)に分かれ,前者が強病原性であるのに対し後者は弱病原性である。毒性の有無はコアグラーゼの有無と関係が深く,前者がコアグラーゼをもち後者のほとんどがコアグラーゼをもたないことによる。
2007年に施行された第4回耳鼻咽喉科領域主要検出菌全国サーベイランスにおける,黄色ブドウ球菌の各耳鼻咽喉科疾患での分離頻度は表1の通りである。前回サーベイランスに比較し,急性化膿性中耳炎・慢性中耳炎ではやや減少している。
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