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耳科手術における耳介軟骨の使用法
Usage of auricular cartilage in otosurgery
下郡 博明
1
Hiroaki Shimogori
1
1山口大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科学分野
pp.909-915
発行日 2010年12月20日
Published Date 2010/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101714
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Ⅰ はじめに
1963年,Jansenら1)が耳介軟骨を再検材料に用いた鼓室形成術を報告して以来,耳科手術における耳介軟骨の有用性は多く報告されている。その利点として,同一術野から採取できること,至適な形状に容易に加工できること,安定して生着することが挙げられる。真珠腫性中耳炎に対してわれわれが現在行っている術式は,経外耳道的に上鼓室を開放して病変に応じて乳突洞方向へ削開を進める,いわゆるretrograde drilling on demandと呼ばれるものである。削開した上鼓室側壁,外耳道後壁は硬組織で再建を行う。このときの再建材料として,耳介軟骨を頻用している。さらには,耳小骨連鎖再建にも耳介軟骨をトリミングして用いている。これらは一般的によく行われている使用法である。ところが,手術前の患者に対する説明の際,耳介軟骨を用いた再建を行うむねを申し上げたところ,そんなに軟骨を採取して外観など問題ないのかという質問を受けた。検討した結果,過去のそのようなことを明確に記載したものは認めないことが判明した。
本稿では,まず筆者らが過去に行った耳介軟骨採取後の耳介の変形に関する検討結果を紹介し,側壁・後壁再建,耳小骨連鎖再建以外にわれわれが行っている耳介軟骨の使用法を,最近の試みを含めて述べる。
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