Japanese
English
シリーズ 知っておきたい生理・病態の基礎
3.呼吸(下気道)
3.Breathing(lower respiratory system)
竹内 万彦
1
,
小林 裕康
2
Kazuhiko Takeuchi
1
1三重大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科
2三重大学大学院医学系研究科呼吸器内科
pp.225-233
発行日 2010年3月20日
Published Date 2010/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101563
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Ⅰ はじめに
気道は分岐を繰り返す管の集合体で,分岐を繰り返すたびに細く短くなり,数も多くなる。ヒトの気道の分岐数とその名称を表11)に示した。16分岐までを気道領域,残り7分岐を呼吸領域と呼び,気道を構成する。呼吸領域を,別名移行領域と呼吸領域ともいう。上気道とは,鼻腔から喉頭までを指し,これに対して気管より末しょうの気道を下気道いう。末しょう気道および中枢気道について,厳密な定義はないが,内径2mm以下の気管支を末しょう気道,内径2mm以上を中枢気道と便宜的に分類することが多い。
上気道を扱う耳鼻咽喉科医にとっては,呼吸(下気道)の知識を必要最低限知っておかなければならない。このシリーズは,『知っておきたい生理・病態の基礎』であるが,呼吸の生理・病態について教科書的な記載をしてもどうかと考え,筆者がこれまでの耳鼻咽喉科臨床で経験し,下気道(呼吸)の知識が必要だと痛感した症例を紹介したうえで,その症例で起きたことを解説したい。そのあと,耳鼻咽喉科疾患と呼吸との関連,下気道の新しいバイオマーカーについても述べる。
下記は数年前に経験した局所麻酔下での内視鏡下鼻内副鼻腔手術時に喘息発作を起こし,その後,呼吸状態が改善せず,呼吸器内科の医師にお世話になった症例である。
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