特集 頭頸部再建外科―日常臨床から理論まで
Ⅳ.耳鼻咽喉科医が知っておきたい形成手術―秘伝を用いた小手術
4.顔面神経麻痺に対する整容術
村上 信五
1
,
横田 誠
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学講座
pp.145-150
発行日 2009年4月30日
Published Date 2009/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411101432
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Ⅰ はじめに
顔面神経麻痺に対する形成手術には,大きく分けて動的再建術と静的再建術がある。前者には顔面神経の損傷された部位にほかの神経や人工神経を移植する神経移植術や舌下神経などほかの神経と吻合する神経吻合術がある。また,側頭筋や咬筋を用いた筋移行術も動的再建術の1つである。一方,静的再建術には弛んだ皮膚を切除したり,大腿筋膜や人工材料であるゴアテックス®,エチボンド®などを用いて挙上する吊り上げ術などがある。これら多くの形成術は顔面神経の状態や麻痺の程度(完全麻痺,不全麻痺),顔面の緊張や左右の均整を考慮して,単独あるいは複数の方法を組み合わせて施行する。
本稿では『耳鼻咽喉科医が知っておきたい顔面神経麻痺に対する整容術』として,筆者が施行している皮膚切除,吊り上げ術などの静的再建術を紹介するが,高度顔面神経麻痺に対する形成手術の原則は,可能な限り神経移植や吻合術,筋移行術などの動的再建を優先すべきであり,整容術はあくまで補助的な手術である。
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