Japanese
English
シリーズ DPCに対応したクリニカルパスの実際
⑪鼓室形成術
⑪Tympanoplasty
君付 隆
1
,
小宗 静男
1
Takashi Kimitsuki
1
1九州大学大学院医学研究院臨床医学部門耳鼻咽喉科学
pp.73-79
発行日 2007年1月20日
Published Date 2007/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100818
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Ⅰ はじめに
クリニカルパス(以下,パスと略す)は,米国にてDRG/PPS(diagnosis related group/prospective payment system:診断群別見込み支払い方法)が導入されたことを契機に開発され,定義として『DRGが決めている入院期間内に標準的な結果を得るために,患者に対して最もかかわる医師,看護師が行うべき手順と時間のリスト』とされている1)。わが国では,2003年から特定機能病院の入院診療においてDPC(diagnosis procedure combination)による包括医療が導入され,その後,一部の病院にも広がりつつある。こうした包括医療においては,支払い方式が出来高ではなく,疾患別に診療報酬が固定されており,入院期間においても期間の長いほど診療点数が低くなる2)。一方,パスは質の高い医療の実施と医療の標準化,チーム医療の促進,医療教育の向上などを目標としているが,費用対効果の面からも,在院期間の短縮とコストの削減を目標としてDPC導入後のパスの意義は大きいと考えられる。また患者サイドにおいても,入院中の診療内容を経時的に理解しやすいこと,治療の目標が明確にされること,主体的に診療に参加できることなどの利点が多く,医療サービスの向上の手段としてもパスの意義は大きい。
本稿では,当科で用いている鼓室形成術のパスについて紹介し,その特徴と有用性について解説する。
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