特集 上気道アレルギーを診る
8.口腔アレルギー症候群(OAS)
口腔アレルギー症候群の診断と治療
安部 裕介
1
,
原渕 保明
1
1旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学教室
pp.141-147
発行日 2004年4月30日
Published Date 2004/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100588
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I.はじめに
口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome:OAS)は,1987年にAmlotら1)によって,原因となる特定の食物を摂取することによって生じる口腔,咽頭粘膜のIgE抗体を介したⅠ型アレルギー反応による一連の症状を呈する症候群として提唱された。食物摂取後15分以内に口唇や口腔粘膜の腫脹,かゆみ,ヒリヒリ感などで発症する。口腔咽頭症状のみならず,ときには喘鳴,喉頭浮腫などの喉頭症状,蕁麻疹や血管浮腫などの皮膚症状,腹痛,下痢などの消化器症状,さらに喘息発作やアナフィラキシーショックなどが出現する(表1)。そば,卵などの食物アレルギーによって生じる口腔症状も広い意味でOASに含まれるが,本症の最も重要な特徴は花粉症患者に高頻度に発症し,その原因食物の多くは果実であることである。特にシラカンバ花粉症患者における発症率は欧米では70%2~4)と極めて高い。花粉症以外にはラテックスアレルギー患者にもlatex-fruits syndrome5)として,約50%に発症することがいわれている。
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