特集 上気道アレルギーを診る
5.鼻アレルギーと副鼻腔炎
1)アレルギー性副鼻腔炎の発症機序と確定診断へのアプローチ
黒野 祐一
1
1鹿児島大学大学院医歯学総合研究科聴覚頭頸部疾患学講座
pp.99-105
発行日 2004年4月30日
Published Date 2004/4/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100582
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.はじめに
アレルギー性鼻炎患者の副鼻腔単純X線撮影を行うと,上顎洞あるいは篩骨洞に高頻度に何らかの陰影が認められること,そして慢性副鼻腔炎患者の多くがアレルギー性鼻炎を合併していることから,アレルギー性鼻炎と副鼻腔の病態に何らかの関連性があると考えられる。また,1960年代からアレルギー性鼻炎が急増する一方で,慢性副鼻腔炎はこれと逆比例するように年々減少し,かつ軽症化の傾向にあり,かつてのように膿性の鼻漏を常時多量に認める典型的な慢性副鼻腔炎症例はほとんどみられなくなってきた1)。こうした背景により,アレルギー性鼻炎を合併した慢性副鼻腔炎では,副鼻腔の病態に感染よりもむしろⅠ型アレルギーが関与していると考えられ,アレルギー性副鼻腔炎という概念が提唱された2)。しかし,本疾患の定義は未だ確立しておらず,本疾患の診断はもちろん,その発症機序についても統一した見解が得られているとはいい難い。
そこで本稿では,アレルギー性副鼻腔炎の概念を整理し,その発症機序を様々な角度から検証し,診断に至るまでのアプローチについて考察してみたい。
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.