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特集 突発性難聴の今
5.突発性難聴と平衡機能
5. Sudden deafness and equilibrium function
馬場 俊吉
1
Shunkichi Baba
1
1日本医科大学付属千葉北総病院耳鼻咽喉科
pp.219-224
発行日 2006年3月20日
Published Date 2006/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411100034
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Ⅰ.はじめに
突発性難聴の予後因子として,発症から治療までの期間,聴力障害の程度,聴力型,年齢,めまいの有無が知られている。特に,前庭症状と予後との関係は古くからいわれており,一般的にめまいを伴う症例の聴力回復は悪いとされている。われわれの検討でも,自覚的にめまいの訴えのあった症例と,なかった症例との間に固定時聴力レベルに差が認められ,めまいを自覚しなかった症例のほうが予後良好であった。また,自発眼振の有無と予後の関係においても眼振のない症例のほうが固定時聴力レベルは良好であった。一方,Lairdや泰地らは,めまいの有無と聴力損失との間には高い相関関係があり,聴力損失を考慮するとめまいの有無が聴力予後に与える影響は少ないと報告している。われわれの検討でも前庭障害の有無と初診時聴力レベルとの間には高い相関関係が示されていた。また,前庭障害の有無と固定時聴力レベルとの間には有意差が認められるが,改善度には有意差を認めていない。このことは,泰地が述べているようにめまいと聴力損失を独立した変数として扱うことの危険性を示唆している。
突発性難聴のめまいの自覚と聴力予後との関係はよく述べたれている。しかし,突発性難聴と平衡機能検査を述べた報告は少ない。今回,われわれの施設で突発性難聴と診断し,治療および平衡機能検査を施行した症例を中心に報告する。
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