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緑内障診療における眼圧測定の意義
眼圧測定は緑内障診療において重要な検査項目である1〜3)。緑内障性視神経障害の発生と進行には眼圧因子と眼圧以外の因子の2つが関与するが,眼圧は特に重要な危険因子である4〜7)。しかし,緑内障診断における眼圧測定の意義は,病型によって一律ではない。まず,いわゆる原発開放隅角緑内障(primary open-angle glaucoma:POAG)および正常眼圧緑内障(normal tension glaucoma:NTG)に関しては,両者を特定の眼圧値によって区別する意義は少なく,同一のスペクトラムに包含すべきとの提唱がある4,5)。わが国で行われた緑内障疫学調査により,眼圧が正常範囲内にあるNTGの頻度が高いことが示され8),したがって,眼圧測定による緑内障の検出力は低く,眼圧測定のみによる緑内障診断には明らかに限界がある。これに対して,視神経障害および視野障害がみられない高眼圧症あるいは続発緑内障などでは,その診断に際して眼圧測定は必要不可欠となる。
一方,緑内障治療として,目標眼圧を考慮した眼圧下降が行われている。目標眼圧とは,眼圧がそのレベル以下に保持されれば,視神経障害あるいは視機能障害がさらに進行しない一定の眼圧レベルと定義することができるが,岩田4)は,POAGあるいはNTGを対象とした視野変化と経過中眼圧に関する検討結果4,9,10)に基づき,目標眼圧として,POAGの早期では19mmHg以下,中期では16mmHg以下,後期では14mmHg以下,また,NTGでは12mmHg以下という基準値を報告している。目標眼圧を考慮した眼圧下降治療では,治療開始時,すなわちベースラインの眼圧レベルをまず把握し,治療開始後は目標眼圧の達成の有無を確認し,眼圧下降効果を評価する必要があり,したがって,眼圧測定は緑内障を管理するうえでも極めて重要な検査といえる。
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