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高脂血症をベースとする循環器疾患や糖尿病などに代表される,いわゆる生活習慣病が増加しています。それに伴って眼科領域でもこれらとかかわりの深い疾患を診察する機会が増えており,内科をはじめ他科との連携がますます重要となってきていると思います。糖尿病網膜症の視機能予後は,初診時における網膜症の重症度とそれに対して適切な眼科治療を行ったか否かで大きく異なります。しかし光凝固や硝子体手術などの治療を実際に行い,その後,長期間経過をみていますと,良好な視機能維持に最も重要なことは糖尿病コントロールの善し悪しであることを痛感します。したがって私は糖尿病のコントロール状態には常に目を光らせ,患者さんにその重要性をよくお話し,内科と絶えず連携して眼の治療にあたることを心がけています。
繰り返していた硝子体出血が吸収しだしたり,光凝固や硝子体手術が奏効し黄斑浮腫が消失したりする背景には良好な糖尿病コントロールが存在し,内科との連携プレーがうまくいっているケースです。逆に十分な光凝固や硝子体手術をしたにもかかわらず,難治の黄斑浮腫や新生血管緑内障により増悪するケースのほとんどは糖尿病コントロール不良例で,結果的に他科との連携はうまくいかなかった症例と考えます。網膜症がじわりじわりと進行しているにもかかわらず,定期的な内科受診を怠り,われわれが再三にわたって内科受診を勧めるにもかかわらず,断固として受診しない患者さんに時々出くわします。このような患者さんの診察では,眼科的な検査にのみ終始することなく,コントロールの重要性を時間をかけてよく説明し,内科受診をきちんとするようお話して,内科との連携がスムースにいくよう心がけるべきであると考えます。
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