特集 眼科基本診療Update—私はこうしている
2.治療に必要な基本技術
網膜・硝子体疾患の治療
糖尿病網膜症のレーザー治療
北野 滋彦
1
1東京女子医科大学糖尿病センター眼科
pp.295-298
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907092
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はじめに
糖尿病網膜症は,成人における失明の原因疾患としてトップを占めている。1997年の厚生省による糖尿病実態調査は,糖尿病患者数の増加に加えて,糖尿病を強く疑われると判定された人のうち,治療を受けている人は半数以下であったと報告している。この報告から,眼科的治療の適切な時期を逸する糖尿病網膜症患者がいまだ多く存在し,これが糖尿病網膜症による失明の原因となっていることが推測される。それでは,糖尿病網膜症のレーザー治療の適切な時期とは,具体的にどのような時期であろうか。実際には,症例間にかなりのバリエーションが存在し,レーザー治療が適切とされる時期にも幅があると思われる。したがって,レーザー治療を一元的に対処していては,糖尿病網膜症の進展を阻止しえないし,逆に黄斑浮腫を主としたレーザー治療の合併症も生じてしまう。
本稿では,糖尿病網膜症に対するレーザー治療の実施時期と,その留意すべき点について述べる。なお,硝子体手術を前提とする進行した増殖網膜症や黄斑症に対するレーザー治療については,紙面に限りがあり割愛する。
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