特集 オキュラーサーフェスToday
Ⅴ トピックス—基礎と臨床
粘膜免疫
結膜関連リンパ装置(CALT)と濾胞樹状細胞
庄司 純
1
1日本大学医学部眼科学教室
pp.193-195
発行日 1997年10月20日
Published Date 1997/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905636
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粘膜組織には特有の免疫機構が存在する。この免疫機構は,分泌型IgAとその産生を誘導するリンパ組織である粘膜関連リンパ装置(mucosa-associated lymphoid tissue:MALT)からなる免疫機構であり,局所免疫または粘膜免疫と呼ばれている。分泌型IgAは消化管,気道,眼,乳腺などで分泌されるが,その分泌を司る機構は個々に独立したものではない。たとえば腸管で,ある抗原に対して感作が成立すると,気道や母乳中などに,その抗原に対する特異的IgA抗体が出現することがわかってきた。そこで,全身の粘膜組織は,共通の免疫応答を行う系によって連結していると考えられるようになり,common mucosal immunesystem (CMIS)と呼ばれる概念が登場した。CMISが成立するためには粘膜独自の抗原認識機構が必要であり,その後は抗体産生細胞の分化,分泌型IgAの産生へと展開されていくことになる。
結膜には,MALTに相当する組織として,結膜関連リンパ装置(conjunctiva-associated lymphoidtissue:CALT)が想定されている1)が,ここでは,CALTにおける抗原認識の過程に関するこれまでの知見を述べる。
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