特集 オキュラーサーフェスToday
Ⅴ トピックス—基礎と臨床
炎症・免疫学
角膜移植とACAID
園田 靖
1
1東京医科大学八王子医療センター眼科
pp.172-174
発行日 1997年10月20日
Published Date 1997/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905628
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1.ACAIDとは
アロや異種組織が前房内に投与された後,それらの組織の生存が延長することより,前房はimmune previleged siteとして,免疫学的に寛容な場所と考えられてきた。ACAIDとはanteriorchamber associated immune deviation (前房関連性免疫偏位)の略であり,眼における特殊な免疫機構を示すものとして,1977年にKaplanとStreileinら1)により提唱された。ACAIDの最大の特徴はサプレッサーT細胞による遅延型過敏反応(delayed-type hypersensitivity:DTH)の抑制である。
通常の免疫反応下でのDTHは次の3相から成る。(1)抗原認識相:ホストのリンパ球(多くはCD4陽性細胞)がマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞(APC)によって提示された抗原を認識する。(2)刺激相:抗原を認識したリンパ球が自らIL−2などのサイトカインを分泌しながら分化,増殖し,DTHを起こすTリンパ球(以下,TDTH)となる.(3)エフェクター相:分化,増殖したTDTHが同じ抗原刺激を受けた場合,遊走性因子なや種々のサイトカインが分泌され,それにより抗原刺激部位に好中球,単球,リンパ球などが集積し,非特異的な局所の炎症反応を引き起こす。ACAIDでは,抗原認識相にもエフェクター相にも抑制的にサプレッサーT細胞が働き,DTHを抑制に導くとされる。
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