今月の表紙
未熟児網膜症(瘢痕期)
清水 弘一
1
1群馬大学医学部眼科
pp.1294
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905497
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<コメント>
20歳女子の右眼。生下児体重1,500gの未熟児であったが,酸素の投与歴はない。右−10D,左−5Dの近視がある。矯正視力は右0.8,左0.9。眼底は両眼とも典型的な瘢痕期未熟児網膜症の所見を呈する。網膜全体が血管と共に耳側に牽引され,黄斑も耳側に偏位している。マリオット盲斑は,その中心が固視点から24°の位置にある。黄斑から耳側にかけて色素上皮の萎縮があり,耳側一帯はほとんど無血管の状態。赤道から周辺寄りに限局性の網膜剥離があり,大きな円孔が4個並んでいる。
幸いに重篤にならずに自然寛解した未熟児網膜症であるが,今後網膜剥離の拡大進展の可能性が懸念される。これ以上眼球が成長しない年齢に達していることと,硝子体の牽引がないことから,ただちには光凝固ないし手術は行わず,定期的に監視する方針にした。もちろん患者には,異変があればすぐ来科するように伝えてある。
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