特集 緑内障Today
Ⅵ 術中・術後トラブル対処法—こんな時どうする
術後トラブル対処法—隅角癒着解離術
河野 眞一郎
1
Shin-ichiro Kawano
1
1帝京大学医学部眼科学教室
pp.215-217
発行日 1996年10月20日
Published Date 1996/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905140
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はじめに
隅角癒着解離術(GSL)は容易で単純な手術であり,適切に行えば術後の合併症に悩まされることの少ない術式である。原発閉塞隅角緑内障(PACG)ばかりでなく,続発閉塞隅角緑内障の外科的治療にも応用できるが,ここでは主にPACGを対象として話を進めることにする。この術式は単独でも行うが,白内障手術との同時手術が特に効果的であるため,筆者自身は初回より白内障手術(主としてPEA+IOL)を併用することが多い。術後合併症は,当然のことながらGSL単独手術よりも白内障手術併用のほうが頻度も高く多彩となるが,重篤なものを経験することは稀である。これまでに実際に経験したものを列挙すると,前房出血,フィブリン析出,一過性眼圧上昇,隅角再閉塞,悪性緑内障などである。さらに,白内障手術+眼内レンズ(IOL)移植術を併用する場合には後嚢破損,硝子体脱出など白内障手術に関わる合併症,およびIOLに起因する合併症が加わることになる。
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