連載 眼の組織・病理アトラス・68
慢性関節リウマチに伴う壊死性強膜炎
猪俣 孟
1
1九州大学
pp.794-795
発行日 1992年6月15日
Published Date 1992/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410901173
- 有料閲覧
- 文献概要
強膜炎患者の1/3は慢性関節リウマチ患者である。慢性関節リウマチ患者に伴う強膜炎はとくに前部強膜に起こりやすい。臨床的には,強膜が炎症性に著しく肥厚する膠様強膜炎 gelatinousscleritisまたはbrawny scleritis (図1)と,逆に強膜が菲薄化してぶどう膜が露出する穿孔性強膜軟化症scleromalacia perforansの2通りがある。いずれも強膜の壊死を伴う壊死性強膜炎ne—crotizing scleritisである。
病理組織学的な特徴は,強膜の壊死とそれに伴う慢性肉芽腫性炎症である(図2)。角膜縁から赤道部までの前部強膜に多形核白血球の浸潤を伴った多数の小壊死巣が存在し,その周囲を柵状に配列した類上皮細胞や巨細胞が取り囲む小結節すなわち類壊死結節necrobiotic nodulesが形成される(図3)。類壊死結節の周囲には多数のリンパ球とプラスマ細胞が浸潤して強膜は著しく肥厚する。
Copyright © 1992, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.