特集 眼科基本診療—私はこうしている
治療に必要な基本技術
交感性眼炎の早期発見と処置
田中 孝男
1
1東京医科大学眼科
pp.156
発行日 1991年10月30日
Published Date 1991/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900914
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交感性眼炎とは
交感性眼炎とは一眼の穿孔性眼傷,または内眼手術後に約2週間から3か月を経て発症するぶどう膜炎であり,その炎症所見は原田病に類似する。原因として外傷や手術(特に硝子体手術)を契機とし自己のメラノサイトを障害する自己免疫機序が考えられている。眼所見では前眼部に豚脂様角膜後面沈着物等の肉芽腫性変化を示し,眼底では視神経乳頭の発赤,腫脹を認め,後極部の限局性漿液網膜剥離が認められる。また蛍光眼底造影所見では乳頭およびその周囲より蛍光色素の漏出,剥離部に一致した多発性の脈絡膜から網膜下への色素の漏出が認められる。そして炎症後期にはDalen-Fuchs斑が出現する。眼外症状としては頭痛,皮膚白斑,脱毛,難聴等の症状を伴うことがある。全身検査所見では髄液中のリンパ球の増加,リンパ球のHLA抗原検索によりDR4やDRW53を確認することは診断補助として役立っ。
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