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眼窩
井上 洋一
1
1オリンピアクリニック
pp.883-885
発行日 1991年5月15日
Published Date 1991/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410900673
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教育講演
今回の教育講演は,千葉大学の麻薙薫先生の眼窩の外傷に関するお話であった。眼窩部の外傷は,この部の解剖学的構築の特異性から,かなり特殊な様相を呈し,その診療には,特に注意して当たらなければならないのが通常である。眼窩部の外傷は,骨折と異物あるいは裂傷が主で,講演もこれらの点について自験例を中心に述べられた。
眼窩の骨折に関しては近その歴史的な事項からとりあげ,骨折の発生機序,臨床症状についての病態生理についての考え方の変遷を振り返った。これらの点は,現在未だ解明されたとはいい難く,従って治療方針の立て方もいろいろな考え方が通用している。すべて手術療法か,あるいは保存療法かといった極端な議論はさておいて,治療法の選択基準を一体どこにおいたらよいのであろうか? また,治癒の判定はどのようにすればよいのであろうか? これらを同じ土俵の上で討論していないのが現状で,議論がかみあわない原因ではなかろうか。手術を必要とする病態と必要としない病態があることに疑問の余地はないが,その間にある群をどのように区別してゆくかが当面の大きな課題である。演者はCTをはじめとする画像診断からこの問題を捉え,現時点で妥当と思われる基準を紹介した。さらに,どのような手術を行ったかということも,予後を云々する場合には重要である。(中村)
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