第50回日本臨床眼科学会専門別研究会1996.10.24京都
眼窩
井上 洋一
1
,
三村 治
,
栃久保 哲男
,
北原 健二
1オリンピア・クリニック眼科
pp.1401-1403
発行日 1997年7月15日
Published Date 1997/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410905518
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(一般講演Ⅰ)
木曜日の午前9時からの一般講演で,参加者が少ないのではと危惧されたが,朝から活発な討論が行われた。
1席と2席はともに甲状腺眼症の治療に関する貴重な発表で,1席の中村弘氏(オリンピア・クリニック)は,28例40眼の甲状腺視神経症で,ステロイド療法,放射線療法,その併用などの保存的治療を行い,種々の因子と最終視力との関係を検討した。その結果,これらの保存的療法で約8割が良好な視力が得られ,治療開始後早期の視力が予後判定に役立つとしている。発表に対して中村氏(慶大),萩原氏(市立伊丹)から,放射線照射単独の適応にっいてと,照射単独ではむしろ瘢痕を形成し眼球運動障害をきたすのではとの質問がなされた。この点に関しては,Plummelらが二重盲検法によるステロイド療法と放射線療法の優劣比較で,放射線療法のすぐれていることを報告しており,今後本邦においても,放射線療法を取り入れたこれらの療法が主流になると思われた。2席では西原氏(市立伊丹)が,ステロイド漸減中に視神経症を起こし,ステロイドのパルス療法やシクロスポリン内服,球後照射などの療法で視機能を温存しえた2症例を報告した。中村氏(慶大)からシクロスポリンの適応および中止時期にっいて,また栃久保氏(東邦大)から眼球突出度との関係について質問があった。
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