Book Review
臨床経過で診る ぶどう膜炎・網膜炎・強膜炎アトラス
丸山 耕一
1
1川添丸山病院
pp.1435
発行日 2024年11月15日
Published Date 2024/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215399
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本書のページをゆっくりとめくり,サルコイドーシスやVogt-小柳-原田病,そしてベーチェット病という,いわゆる三大ぶどう膜炎をはじめ,急性網膜壊死やサイトメガロウイルス網膜炎などの特徴ある眼底写真を見るにつけ,「Reality」と「Honesty」という言葉が思い浮かぶ。「Reality」は,眼底のリアルを伝える術を知るフォトグラファーの腕から生み出され,医師との共有に至るもの。「Honesty」は,撮影時期の違いでその姿かたちは変化するものの,加工などは一切せず,そのままの姿をクオリティ高くストレートに切り取るものである。もちろん,患者との共有に至るものもある。この「Reality」と「Honesty」を両立させ,しかも臨床経過を追いやすいように適切なタイミングで撮影を行い記録として残す。疾患によってはモンタージュ方式で記録している。ぶどう膜炎では,視神経乳頭と網膜周辺部の変化をとらえてなんぼなのだ。眼下の者が尊敬する著者に向かって放つ言葉ではないが,これぞ「Perfect」である。
ここまで本書の眼底写真を「Perfect」と言ってきた。どこをどう切りとってもそれは間違いない。ただ,舌の根の乾かぬうちにではあるが,深層のところはカメラのレンズを通過してではなく,自分自身の水晶体を通して見えた像こそがRealityであると,ぶどう膜炎診療を業としている方々の中にはそう思う人もいるはずだ。
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