今月の表紙
非ウィルソン病銅排泄障害に伴う角膜混濁
難波 広幸
1
,
永沢 倫
2
,
稲谷 大
3
1国際医療福祉大学成田病院
2山形大学
3福井大学
pp.557
発行日 2024年5月15日
Published Date 2024/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215164
- 販売していません
- 文献概要
症例は64歳,男性。2日前からの左眼視力障害で前医を受診したところ,網膜剝離を指摘されて山形大学医学部附属病院を紹介された。初診時の視力は右0.4(0.6),左30cm手動弁,眼圧は右15mmHg,左8mmHg。角膜中央部,デスメ膜の深度に黄褐色の一様な混濁を認めた。眼底は混濁部を通して透見可能で,網膜剝離部に裂孔を確認できた。局所麻酔下で左経毛様体扁平部硝子体手術+白内障手術を施行した。
角膜沈着物の深度・色調から銅の沈着を疑ったが,初診時の右眼(非網膜剝離眼)視力が比較的良好であったため角膜移植の適応とならず,病理組織からの診断には至っていない。白内障手術時に前房水,水晶体の一部を外注検査に提出して銅濃度を測定したが,測定感度以下であった。内科へ紹介したところ,高銅血症と単クローン性免疫グロブリン血症が認められた。セルロプラスミン値は正常であり,また沈着が角膜中央部にみられることから,ウィルソン病とは異なる機序での銅排泄障害と考えられた。
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.