特集 先端医療を先取りしよう—日本にはない海外の医療
企画にあたって
西口 康二
1
1名古屋大学大学院医学系研究科眼科学分野
pp.159
発行日 2024年2月15日
Published Date 2024/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410215088
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私は眼科医2年目の1999年に米国ボストンに留学し,現地の眼科スタッフとの交流を通して米国の眼科診療の質の高さを身をもって経験する貴重な機会を得ました。そのとき感じた日本と米国の数ある違いのなかでも,専門診療の細分化とEvidence-Based Medicineの厳格な運用が特に印象的でした。これは,医局を運営する身となった今も診療の基本方針としてとても大事にしています。しかし,私が留学で最も感銘を受けたのが,医師と基礎研究者が緊密に連携し,革新的な先端医療を生み出すためにトランスレーショナルリサーチが活発に行われていることでした。
それから20年が経ち,このような取り組みはさまざまな分野で臨床応用という形で昇華され,アカデミア発の革新的な医薬品は,わが国を含め世界中の眼科診療に大きな影響を与えるに至っています。一方で,患者数が少ない比較的ニッチな分野の製品や治療薬の一部に関しては,展開地域が限定的だったり世界展開が遅延したりします。しかし,患者にとって真に有益なものは輸入され,臨床研究という形でオフラベルで使用されていることも耳にします。
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